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【開催報告・生理の授業】保健体育の先生の卵たちへ。Be-A Japan が大学の教育学科にて「学校教育における生理とスポーツを考える」授業を実施
超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A〈ベア〉」を展開する株式会社Be-A Japan(本社:東京都渋谷区神宮前、代表取締役:髙橋くみ、取締役:山本未奈子)は、2022年11月10日(木)に、帝京科学大学 教育人間科学部 学校教育学科で「保健体育の教師」を目指す学生たち(男子生徒28名、女子生徒9名、合計37名)に向け「学校教育における生理とスポーツを考える」協業授業を実施いたしました。
当日は、Be-A Japan CEO髙橋と、CPO中村が登壇し、生理の基礎知識をお伝えし、また実際に教育現場で出くわすであろう場面を想定しながら、スポーツ教育における生理との関わり方・向き合い方についてワークショップを通して学ぶ場となりました。
開催背景 ~子どもたちが不安を抱える、学校生活における生理~
Be-A Japanでは、次世代により良い世界を手渡すことを目的としたブランド活動「Girls Be Ambitious Project (ガールズ・ビー・アンビシャスプロジェクト )」を行っています。本プロジェクトの活動として、小中学生親子や学生に向けた生理セミナーをこれまで16回にわたり(合計309名ご参加)実施してきました。
タブー視されがちな生理へ性別問わず向き合い、正しい知識と選択肢を学ぶことで、誰もが生きやすい社会になればと継続的に活動を行っています。
そんな中、特に小中学生の子どもたちが口を揃えて不安を感じると答えるのが、学校生活における生理です。
「生理で体調がすぐれないけれど、体育の授業を欠席したいと言い出しにくい」
「プールの授業を欠席した時、友だちの目が気になる・・・」
「約5-10分しかない授業の合間に、体操着への着替えに加えて、生理用品を取り替えなくてはならないので、いつも大急ぎ。時間を気にしながらの行動は毎回不安ばかり」
学校生活における生理の問題は、身体的なものだけでなく、精神面でも影響を及ぼしています。
Be-A Japanが行った生理にまつわるアンケートでも、生理中、体育や部活動などのスポーツを休みたいと思ったことがあるかという質問に対して94.8%が「はい」と回答。理由としては「腹部の痛み」「体がだるい・重い」「集中できない」「前向きになれない」など、身体的理由・精神的理由ともに様々ありました。
また、休みたいと思ったが休めなかったと回答している人が87.3%。理由としては、「仕方のないことだと思った」という諦めや、「恥ずかしくて言い出せなかった」「バレたくなかった」「仲間に迷惑が掛かると思った」など。生理中は色々な感情と向き合いながら生活していることがわかります。
(2022年11月Be-A Japan実施「生理とスポーツの関係」についてのアンケート 229名が回答)
この度、かねてよりBe-A Japanの活動に共感いただいていた帝京科学大学の人間教育学部学校教育学科岩沼准教授からお声がけいただき、協業授業の開催が実現しました。
岩沼准教授によると「体育・ スポーツ指導においては、個々の女性特有のコンディションの変動を理解し配慮することが求められる一方で、教員・指導者の理解は十分とは言い難いのが現状」とのこと。
さらに、大学スポーツ協会(2022)の報告によると、女性競技者が生理に関する情報を得る相手は、「教員」(56.7%)が最多であるにも関わらず、保健体育の教員養成課程の中では、保健分野の一つとして生理について触れるのみにとどまっており、年間数時間程度しか組み込まれておらず、十分な知識を得られておりません。
それは、競技者に限らず、学校生活や部活動などでスポーツと関わる子どもたちでも同様のこと。
生理を理由に子どもたちが不自由さや不安を感じず、楽しんで体育・スポーツに取り組むためには、学校生活や体育・スポーツ指導において、その指導者(教師)一人ひとりが、今以上に生理に対しての正しい知識と、その場面にあった対応を学んでいることが必要です。今回の協業授業により、女性特有のコンディショニングに理解を深めるだけでなく、広く社会に目を向ける機会になり、産学連携によるシナジー効果も期待できると考えています。
協業授業の様子
授業は3部構成で行いました。
1. 生理の基礎知識を身につけ寄り添える先生に
Be-A Japan代表の髙橋が生理に関しての問題に関心を持ったきっかけとなったのがまさにスポーツです、という話からスタート。女子サッカー日本代表 チームがワールドカップで優勝した2011年、サッカーというスポーツということもあり選手の脚元を含む下半身がテレビにアップでうつる姿を見て、
「数十人もの女性がいれこの中に生理中の人もいるだろうに、なぜユニフォームが白なのか」と違和感を覚えたこと、そして女性の体や生理を理解していれば、ユニフォームひとつとっても、もっと寄り添うことができるはずだとお話ししました。
また、生理中には、月経痛、むくみ、頭痛、倦怠感など、さまざまな不調をきたします。漏れてしまわないかという不安や不快感、取り替えのタイミングを見計らわなくてはならないなど、体調面以外にもさまざまなことに気を張る必要があり、それは気持ちの面からもパフォーマンスにも大きく影響します。生徒に寄り添える知識を身につけていただくために、女性の体のメカニズムや、生理の基礎知識、生理期間を含めた1ヶ月を通して、身体と心に起こる変化について分かりやすくお伝えしました。
さらに、CPOの中村からは、教室や部活動でもその場での唯一の大人は「先生」。「先生」という立場で思いやりのある対応をしてほしいというお話しもしました。
2.生理用品ってどんなものがある?~女性が毎月使う生理用品事情~
ナプキンやタンポンなどの生理用品、また、吸水ショーツも実際に手に取っていただきながらご紹介。スポーツ用の生理用品があることは特に興味深かったようです。男子生徒たちは初めて手に取るナプキンやタンポンの扱い方に戸惑いながらも、真剣に吸水実験に取り組んでいて、また女子生徒からはタンポンの仕組みを初めて知ったから、今後使ってみたいという声もあがりました。
3.ワークショップ
実際に指導者(教師)という立場で、いつか直面するであろうシチュエーションを3つ用意し、男女混合の4~5人×8グループに分かれ各々話し合い、最後に発表してもらうというワークショップを開催しました。
1つ目のシチュエーションは、〈体育の授業中に突然生理になってしまったという生徒〉への対応。
「先生から(直接)言われるとショックを受けることもあるから、他の生徒を介して伝えてもらうのもよいかも?」という意見や、「授業の前にトイレ大丈夫か~とか、保健室に行きたいときは声かけてと事前に伝えておく」という、実際にどう声をかけるのか再現しながら発表してくれる学生もいました。
登壇した髙橋からは「生徒と先生の間でいいやすい関係性を作るのも大事」、中村からは「おおごとにせずたいおうしてもらうほうが嬉しいかな」とアドバイスもしました。
2つ目は〈「生理なので授業を休みたい」と頻繁に申し出る生徒〉への対応。
授業の前半に過多月経のことも含めた生理に関する基礎知識を学んだ生徒たちからは、「病気の可能性もあるから病院や保健室の先生へ相談するように誘導する」「生理かどうかきくのではなく、誰に相談できるかをきく」と生理にまつわる症状や悩みをふまえた上での意見が出ました。
中村からは「体の状態をくわしく聞いてほしいわけではないから、心配や思いやりの気持ちが嬉しい!」と、生徒の皆さんへ賞賛の言葉を送りました。
3つ目は幼いころだれもが遭遇していそうな、〈生理でプールを休んでいる女子生徒に対し、男子生徒が冷やかす場合〉の対応。
「ひやかすこと自体がいけないと注意する」「生理のことをよくわかっていないことが問題だから、男子生徒に直接教える…」「生理事情を知らない子にはまず知ってもらうことからかな…」迷いながらも、真剣に考え発表していました。
髙橋からは、「どの場面でも正解はないから、どの意見も素晴らしい!」とお伝えしたうえで、中村から「生理による不調は女性自身も気づかないことがある。周りの対応で無理しすぎてしまうこともあるから、先生たちにはそれを知っておいてほしい」とお話ししました。
未来の教師たちが今こうして生理について学び向き合い、将来思いやりをもって子どもに接することができれば、きっと子どもたちの『学校生活における生理』の不安や悩みが解消されていくだろうと感じられる、Be-A Japanとしても実りのある時間となりました。
参加者の声
「生理が起こると、様々な症状が起きるという事が印象に残りました」
「生理が小学校高学年から来ることに大変驚いた。約40年間生理と付き合うのは大変だなと思うと同時に、生理について何も知らないなと感じた。」
「男性がいかに生理について浅はかだったかを知りました。大人になって生理の女性に寄り添えるように知識をつけたい。」
「男女共習で行う体育の授業では(生理中の子に対して)授業中にどのように対応していくか(もっと勉強したい)、また、日頃から生理についての教育が必要だと感じた。」
開催概要
・日時: 2022年11月10日(木)10:50~12:20
・会場:帝京科学大学 〒120-0045 東京都足立区千住桜木2-2-1
・対象:帝京科学大学の学生 男女37名
・スピーカー: 株式会社Be-A Japan代表取締役CEO 髙橋くみ、CPO中村千春
◆帝京科学大学教育人間科学部学校教育学科 岩沼聡一朗 准教授 よりコメント
体育や部活動などのスポーツ場面において、生理または性周期に伴う体調不良のある女性が存在するということは、誰もが知るところです。しかし、その女性への理解は乏しいと感じています。学生たちは今回の授業を経て、女性にどのような症状や不安があるのか、保健体育教員としてどのような対応をすべきかなどに意識を向ける様子が見受けられました。今回の授業は、保健体育教員の卵として、生理にとどまらず、相手を理解することの大切さや、周囲のかかわり方や環境を工夫することの大切さを考えるきっかけになったと思います。Be-A Japan様と協力し本授業を行えたことは、本学が掲げる「いのちをまなぶキャンパス」の実現そのものです。
◆株式会社Be-A Japan代表取締役CEO髙橋くみ よりコメント
Bé-Aは、生理についての社会的な偏見や嫌悪感を減らし、性別に関わらず誰もがより快適に生きていくための一歩として生理について正しく理解をしてもらいたいという思いから、様々な方を対象に生理セミナーを行っています。
今回、初めて保健体育の先生を目指す大学生の方々へ生理セミナーを開催させていただきました。
私自身もそうでしたが、子どもの頃に大人から言われる一言や、先生の対処・対応は長く心に残ります。特に、生理のようにデリケートな事がらについては、何気ない一言が傷として残ることもあり、その後の人生に影響があることも少なくないのではないでしょうか。
家族と同じくらい長い時間を子どもたちと接する学校の先生、なかでも部活動や体育の授業を受けもち、中・高校で保健体育の授業も行う先生を育成する大学にて生理セミナーを開催させていただくことは、その教え子にあたる子どもたちがより生きやすい社会につながるとの想いで登壇いたしました。
今回、帝京科学大学の皆さまと大変楽しくディスカッションし、授業を開催できたことを心より嬉しく思っております。また、未来の教育現場において生理がポジティブなものであることを願っています。